NO ONE is SOMEONE

空疎な風に想うまま 趣味、人生感、記憶を文字へ

小太郎の左腕/和田竜先生/小説

今日和・ω・
肌寒い乾燥の季節


暖房をつける前に
冬のパジャマと
ルームソックス、


そしてゆたぽんを
お部屋セット。

早くても11月まで
暖房つけるもんか!


体温調整機能を
衰退させぬよう戦う。


時代と共に
温度設定が移ろい
徒労を誘う


戦の法螺貝が
曖昧な季節に鳴る頃、


のんびり読破した
本を語ります。


小太郎の左腕 和田竜先生
小学館文庫
お奨め度★★★★★

▨ご紹介文
戦国1556年を設定。
某西国の隣接する
戸沢家と児玉家の戦乱を
舞台にしている。


当時理想とされる
武将の気質を象った
明朗快活な双家の武将
二人を中心とし、
物語は展開される。


主人公となるのは
戸沢家 武将の半右衛門。


猟師村の離れに住む爺
要三と孫の小太郎


彼らは出逢い
仲間が窮地にいたり


盟主の愚策により
彼は決断を迫られる。


彼が対価で
得たものは何か。


彼が対価で
失ったものは何か。


そして、
全てが終わりしとき、
半右衛門と小太郎が
悟った導きは、
美しく切ない。


▨お奨めポイント
①人物設定台詞が魅力的
真っ直ぐシンプルに
生きる武将が、綺麗で尊い。


現代人は柵が多過ぎる。
家族、会社、大人、性別、


様々な枠が窮屈で感情が
醜く歪まさざる終えない。
多種多様、複雑難解さで
自ずと道連れ堕落する


なんとか生き易い
社会にならないものか…。


②構成がもう最高に良い
 そのまま映画化OK並。


知略をぶつけあう
華やかな戦場から始まり、


物語の鍵の小太郎の登場、
大戦争の過酷な篭城戦、


見せ場が
コレでもかと続く


人物象や関係性が
グッと盛り込んであり、
心鷲掴みにされ


最後は泣く。


③テーマ性が感慨深い
一見、①で書いた
「過去の人間の質」を
延々と綴っているようで、
「人間はそう変らない」


最後に説かれる感覚は
今を生きる希望になる。


武功を収めた勝者組、
武功なき敗者組、


まるで現代の
競争社会が描かれてる


次期盟主
勝者の資格ある
才能なき二世代


小太郎
資格のない
才能ある敗者


武将
資格を掴み取り
才能で成る勝者


非凡で優しい惰弱は
勝者になれない。


資格に胡坐をかいた
凡人も勝者にはなれない。


勝負とは、
人を足蹴にして勝つこと。


踏み台にされた
敗者の想いを
抱擁する優しさで、
自分の心に刃を
突き立て背負える強さ、


勝つ度、
傷だらけで笑える人が
真の勝者。


優し過ぎとは、
優しさではない。


強す過ぎては、
強さではない。


この黄金比率を
超越した人が真だろう


読後に本を読み返し、
切なくとも爽やか


感情の波に酔い、
シンと胸響く。


今日のおまとめ/自分メモ
気付けば
文庫本あと2冊。


湊かなえ先生
和田竜先生は続投で、


新しい作家探しの
旅に出ます、来週。


今日は初・乙一先生に
挑戦します♥